被相続人は生前に、それぞれの相続人の誰にどれだけ財産を分けるか指定することができます。
法定相続と遺言による指定相続は、 指定相続が優先します。相続財産のすべてについて指定することはもちろん、「長男には2分の1の財産を残す」とだけ遺言に残し、あとの財産については指定しないでいることも可能です が、これはトラブルを引き起こす火種になりそうですね。
財産の一部だけが記載された遺言書『一部遺言』は、遺産相続トラブルの火種に・・
例えば、配偶者と3人の子供がいるのに「全財産を長女に譲る」と残した遺言があった場合、ほかの3人にしてみれば、あまりにも理不尽だと感じてしまうでしょう。そこで 遺留分という最低限の相続分があります。
兄弟は他人の始まり?!英語圏でも「身は兄弟であっても懐中は姉妹ではない」という言葉が・・
遺留分に満たない財産を相続した相続人に不満がある場合、たくさんの財産を引き継いだ相続人に遺留分に足りない分の財産を請求することができます。それを 【遺留分侵害額請求権(遺留分減殺請求権)】といいます。ただし、遺留分を請求できるのは、配偶者、直系卑属、直系尊属のみで、兄弟姉妹には遺留分がありません。
- 遺留分が認められるのは「兄弟姉妹以外の法定相続人」です。
- 遺留分割合は、直系尊属のみが相続人の場合は、法定相続分の1/3。それ以外の場合は、法定相続分の1/2が遺留分となります。
- 遺留分を主張できる期間は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年、もしくは相続の開始の時から10年です。
【図解】具体的に遺留分権利者と遺留分の算出式をわかりやすい図にまとめました。